第11章 誕生祝い to JUN
ーOsideー
『···でね、写真見てたらいつの間にかお昼になっててね。翔ちゃんのお腹が鳴ったから、翔ちゃんにもらったパンケーキミックスでパンケーキ焼いて2人で食べてね』
さっきからニノのマシンガントークが止まらない。
翔くんと会えたのがよっぽど嬉しかったんだろうな。
珍しく電話が掛かってきたと思ったら、のろけ話をノンストップで喋り続けてる。
『自分でも綺麗に焼けたと思ったんだけど、翔ちゃんにカズ料理上手だねって褒められちゃって♡それで智が潤くんの手作りのお弁当食べてたって話になって···』
「ちょっ、ちょっと待って!」
話し半分に聞いてたら突然俺の話になって、思わず遮ってしまった。
『なぁに?』
「弁当の話を翔くんにしたの?」
『え?ダメだった?』
「や、ダメではないけど···」
なんか恥ずかしいじゃん!
『大丈夫♡翔ちゃんも智たちのこと知ってるから♡』
「何が大丈夫なんだよ···」
思わずがくりと肩の力が抜ける。
もう、俺の気持ちは否定しない。
潤のことかなり意識してるっつーか、惹かれてるのは確かで。
だからってどうこうしようとは思わないけど、無駄に否定するのもやめたんだ。
『でね、翔ちゃんが智が羨ましいって言うから、明日お弁当作っていく約束したの♡うまく出来るかな?喜んでくれるかな?ドキドキするよー!』
「···ガンバレ」
マイペースに話し続けるニノに、ますます脱力する。
『あ、明日は学校行くから美術室にも行くね』
「ああ、そう···」
『潤くんは帰ってきたの?』
「あー、日曜日に帰ってきたみたい」
『会ってないの?』
「会ってない」
『なんで?』
ニノは心底不思議そうだけど
「なんでって···別に会う用事もないし」
帰ってきたら会おうなんて約束もしてないしさ。