第9章 夏休み3
そんなに俺と手繋ぐの嫌なのかよって。
ニノとは腕組んだり抱きついたり平気でしてんのにって、ちょっと拗ねた気持ちにもなった。
それでも、恥ずかしがったり怒ったり静かに百面相してる智が可愛くて。
黙ってその様子を見守ってたら、諦めたんだか何だか分からないけど、あっという間にいつも通りの智に戻った。
手は繋いだままだし、嫌がられてないのはいいんだけど。
それはそれでちょっと寂しいような気分になった。
意識してんの俺だけかって。
作戦とか言って、俺本当はただ智と手を繋ぎたかっただけなのかもしれないな。
自分の心に素直になるならば。
俺は智が気になってる。
いつからだろう···
絵を描いてる姿を見てから?
自分と似ていると思ったときから?
もしかしたら、初めて見た時から?
智のこと好きなのかもしれない。
違うかもしれない。
でも例え好きなんだとしても、翔の時のように認めたくない、認められないみたいな気持ちにはならないと思う。
今も自然に自分の感情を受け入れられている。
この気持ちがこの先どうなっていくのかなんて分からないけど。
もう無理やり自分の気持ちを否定することはやめようと思う。
それがどれだけ苦しいか、俺は知っているから。