第9章 夏休み3
それにしても恥ずかしい。
手を繋ぐくらいニノとなら何とも思わない。
それが相手が潤になるだけでこんなに恥ずかしいなんて。
潤は腹立つくらい平然としてる。
やっぱり慣れというか、経験値の違いなんだろうか。
ちらりと潤を伺い見ると、俺のことを観察するように見ていて。
なんか平然というよりも、俺の反応を面白がってるっぽくないか?
またムカムカしてきた。
もう!ニノたちのせいで!
心の中でニノと翔くんに八つ当たりする。
今までのニノならさ、人前でいちゃつくカップルをどっちかと言うと冷めた目で見てたのに。
あんなに嬉しそうに手繋いじゃってさ。
見てて可愛いとは思ってたけど、こんな形で俺にとばっちりが来るなんて想像してなかったよ。
ああ、なんでこんなことに···
いや、作戦のためなんだけど。
でもピタリと女の子は寄ってこなくなったから潤の作戦的には成功なんだろう。
ちくしょう。
なんか悔しい。
でも、だんだん怒るのも面倒になってきた。
怒り続けるのって疲れるんだよな。
無駄にエネルギー使うのもバカらしい。
···もう、何でもいいや。
あっという間に諦めの境地に辿り着いた俺は、なにも考えずに遊ぶことにした。