第8章 夏休み2
テントに戻ったら風間くんしかいなくて。
しばらく待ってたら、うんざりした顔の3人が食べ物をたくさん抱えて帰ってきた。
ご飯買いに行っただけなのに、また女の子がワラワラ寄ってきて大変だったんだって。
雅紀と潤くんが一緒だったからね、やっぱり人数いると目立つんだよ。
智だって可愛い顔してるんだしさ。
翔ちゃん1人だと声掛けられなかったもん。
ご飯を食べるみんなに発見したことを教えてあげたのに、なんか変な顔をされた。何でよ?
翔ちゃんは「やっぱり潤の濃い顔が目立つんだって!」って言って潤くんに睨まれてた。
みんながお腹いっぱいになったところで、また海に···って思ったのに
「カズはお酒飲んじゃったから海に入っちゃダメだよ!!」
翔ちゃんに禁止された。
何ともないって言っても許してくれなくて。
心配してくれてるのは分かったし、そもそも自分が悪いからおとなしく諦めた。
でも本当はもうちょっと海で遊びたかったなぁ、なんて。
未練たらしく海を見てたら
「また来ようね」
翔ちゃんが優しく提案してくれた。
「本当?」
「うん。次はプールでもいいよね」
「一緒に行ってくれるの?」
「カズと行きたいんだよ」
「···うん!俺も翔ちゃんと行きたい!」
「じゃあ約束」
2人で小指を絡めて指きりした。
その後は海に入れない俺にみんな付き合ってくれて、砂浜でビーチバレーして。
バスケ部のみんなも参加してきて、どんどん本気の試合になって。
本気過ぎたからか、女の子たちも近付いてこれなかったみたいで、とっても平和だった。
最後はみんな砂まみれで笑い転げて、ヘトヘトに疲れ果てて帰途についた。
電車に揺られてるうちにウトウトしてくる。
色々あったけど、楽しかったな。
隣で眠る翔ちゃんの手をそっと握ったらすごく幸せな気持ちになって。
俺も翔ちゃんの肩に凭れて眠った。