第1章 恋に落ちる
ーSsideー
4月、入学式の日
俺は恋に落ちた。
生まれて初めての一目惚れだった。
今日は高校の入学式。
俺が通ってるのは私立大学付属の中高一貫男子校で、高校から入ってくるのはごく少数。
俺も含めて大半が中学からの持ち上がりだから、入学式とは言っても特別緊張感はなかった。
いつもより遅い登校時間。
学校に着くと、玄関前に貼り出されたクラス分け表にすでに人だかりが出来ていた。
ざわざわと騒がしい。
友だちに挨拶しながら近付いていくと
「おはよ、翔」
隣に潤がやって来た。
潤は中学に入って最初に出来た友だちで、気が合ってずっと仲良くしている。
「おはよう、潤。クラス分け見た?」
「いや、まだ」
「じゃあ一緒に見よう」
人混みに揉まれながら並んで確認する。
名前を探していくと、すぐに見つかった。
「俺1組だ」
「······あ!俺も1組!」
少し間があってから、潤の嬉しそうな声が聞こえた。
「マジで?1年よろしくな」
俺の顔も自然と綻ぶ。
見知ったやつばかりだから、別にどのクラスだって構わないけれど。
それでも仲の良い潤が同じクラスだとやっぱり安心した。