第7章 夏休み 1
「父親は海外だし、姉貴がいるけど料理下手でさぁ」
「お姉さんいるんだ?」
「うん。2コ上」
「うちと一緒だね。あとニノのとことも」
「そうなんだ?知らなかったな」
そんな共通点があったんだな。
俺も知らなかった。
「あ、話逸らしてごめん」
「えーと···そんなわけで、母親が飯作れない日にまともな手料理食べたかったら自分で作るしかなかったんだよ」
「なるほど」
「まぁ必要に迫られて始めたんだけど、やってみたら楽しくてさ。今は趣味になってるかも。時間ある時しか作んないけどね」
潤の新しい一面を知った。
料理する姿もカッコいいんだろうな。
こっそり想像して、なんか照れた。
「ごちそうさま!美味かった!」
綺麗に完食したら、また嬉しそうに笑った。
「お粗末さまでした。こんだけ綺麗に食べてもらえると嬉しいよ」
明日も作ってくるな、なんてさ。
綺麗な笑顔にまたドキッとした。
“智が潤くんのこと好きになったのかと思った”
ふいにニノの言葉がよみがえってきて焦る。
違う違う!
そんなんじゃないから!
「智?」
意外な一面に驚いただけだよ。
好きとかじゃないから!
誰に向けてだか分からないけど、何でだか必死に否定してたら
「さーとーしー!!!」
「わぁっ」
急に耳元で大声を出されて驚いた。