第7章 夏休み 1
ーNsideー
夏休み初日の午前中。
いつもなら朝遅くまでダラダラ寝て、1日家に引きこもってゲームしてた。
暑い中わざわざ外なんて出たくないし。
さすがに去年は受験生だったから勉強してたけどね。
今年の俺は違う。
ちゃんと早起きして。
今はね、学校の図書館にいる。
隣には翔ちゃん。
今日も会えたことが嬉しい。
そりゃあね、昨日も会ったよ?終業式でね?
でもね、夏休みは会えないんじゃないかって思ってた。
普通に遊ぼうって誘えばいいんだろうけど。
なんとなく翔ちゃん忙しそうな気がして。
いや、そんなの誘う勇気がない言い訳だな。
迷惑だって思われたらどうしようって、そう思ったら自分からは誘えなくて。
だからもし5人で遊べれば、その時会えるかなって。会えたら嬉しいのになって。
そう思ってた。
でも昨日、丸山くんから手紙をもらって。
読んだ後もう翔ちゃんの側にいちゃダメなんじゃないかって思った。
でも翔ちゃん、俺のこと仲良い友だちって言ってくれた。
“ずっと”側にいてって。
悲しくて泣きそうなのを必死で堪えてたのに、嬉しくて嬉しくて結局涙が出た。
いきなり泣いてさ、翔ちゃん意味分かんなかったよね。
優しいから何も言わないでくれたけど。
だからね、夏休み会えないどころか、もう近くにいれないかもって思った後の翔ちゃんのお誘いだから。喜びもひとしおなの。
山ほど出て憂鬱だった宿題まで嬉しいなんて、我ながらちょっとおかしいんじゃないって思うけど。
量が多ければ、その分翔ちゃんと長く一緒に過ごせるもん。