第5章 誕生祝い to Nino
ーAsideー
潤はいつも女の子を取っ替え引っ替えしてて、正直軽いなって思ってた。
いいやつだけど、そこは俺には理解出来なかった。
昼間の話で翔くんへの想いのせいだったって分かったけど。
ダメだったんでしょ?
翔くんへの想いは変わらなかったんでしょ?
それでも続けてるのは楽しいからかと思ったら、楽しくないって。
じゃあ何で付き合ってんの?
相手の女の子にも失礼だしさ、時間のムダじゃないの?
しかもさ、ニノたちのこと羨ましいって···
ならますますダメじゃん。
好きじゃない、しかも一緒に居ても楽しいとも思えない子と付き合ってたって、本当に大切な人とは出会えないんじゃないのかな。
それとも···
やっぱりまだ翔くんが好きなのかな。
“羨ましい”って、そういう意味も含まれてるのかな。
ぐるぐる考えてたらよく分からなくなってきた。
気付いたらもう潤はいなくて、目の前では何やらニノと翔くんが揉めてる。
珍しい。
「大丈夫だってば」
「でもさ、やっぱり···」
突っぱねるニノに翔くんが食い下がってる。
「あれ何揉めてるの?」
智に聞くと苦笑いした。
「翔くんが遅くて心配だからニノを家まで送り届けたいって」
「翔くん遠回りじゃん」
「だからニノが断ってるんでしょ」
なるほど。
「智と雅紀が一緒だから大丈夫だよ」
「でもさ···」
「もう翔ちゃん心配しすぎ」
ニノが困ったようにこちらを見るから助け船を出すことにする。
「俺たちが家の前まで送ってくから、安心してよ」
「絶対ニノを1人にはしないから、ね?」
智も翔くんを安心させるように続ける。
「ね?本当に大丈夫だから」
翔くんはまだ心配そうだったけど、俺たちが口を出したからしぶしぶ諦めたようだ。
「家に着いたら連絡してね」
「うん!すぐするね」
ニノも安心させるように笑いかける。
「本当に気を付けてね」
翔くんは持ってたニノのお土産を渡すと、何度も何度も振り返りながら電車を降りて行って。
電車が見えなくなるまでホームで見送ってた。