第5章 誕生祝い to Nino
ーOsideー
「楽しかったね」
「うん」
帰りの電車はそんなに混んでなくて、座ることが出来た。
1日歩いてたからやっぱり疲れてたみたいで、座ったらちょっとホッとした。
電車に揺られてぼんやりしてたら
「なぁ、あれ」
潤が、前に座るニノと翔くんを見るようにそっと指差した。
「何?」
別に通常通りの2人に見えるけど。
お互いのスマホを覗きながら何やら楽しそうに喋ってる。
今日の写真でも見てるのかな?
「あ!」
雅紀は気付いたみたい。
「スマホケース!」
言われてみれば、2人は全く同じミッキーのケースをつけてる。
「お揃いだね···」
「いつの間に···」
潤も雅紀も呆れたような顔をしてるけど
「可愛いじゃん」
俺は別にいいと思うけどな。
好きな人と同じもの持てるってニノ嬉しいだろうし。
「智も恋人出来たらお揃いとかしたいタイプ?」
「いや、全然」
「即答かよ」
潤が笑う。
「俺はしたいかも」
「あー、雅紀は好きそう」
「だな」
「え?俺そんなイメージ?」
自分でしたいって言い出したのに驚いてる。
「自分で言ったんじゃん」
「そうだけどさー。あ、じゃあさ、3人でお揃いしてみる?」
「はあ?」
「何でだよ!?」
雅紀の話の飛びっぷりについていけない。
なにが“じゃあ”なのか意味が分からないんだけど。
「え?ニノたちに対抗して?」
「なんで疑問形?」
「何のために対抗するんだよ」
潤がガックリ肩を落としたと思ったら、そのまま笑い出した。
「本当意味わかんねぇ」
くくくっと肩を震わせてる。
「はーっ」
大きく息を吐いたと思ったら
「女の子といるより、お前らといる方が何倍も楽しいな」
本当に楽しそうに言った。
「今日1日で本当にそう思ったわ」
「楽しくないのに付き合ってるの?それは女の子たちに失礼じゃないの?」
雅紀が眉を潜める。
雅紀は優しいから、そういうの嫌なんだろうな。
さっき潤は翔くんへの想いを否定するために女の子と付き合ったみたいなこと言ってたよね。
それは今でも潤にとって必要なことなのかな。
「···本気じゃなくていいって子としか付き合ってないけど」
「それでもさぁ」
「···うん、言いたいことは分かる」
潤はちょっと真面目な顔になった。