第3章 目的
(あーやってしまったー……)
人差し指からプックリと出る血を見て、馬鹿な事をしてしまったなぁ、とは反省した。
この時代の切り傷に効く薬は知らない。家長にはなんだか怖くて聞けない。
仕方なし、と自分の指を舐めていると
「何してんだ?」
と、尾形がやってきた。
「あ、尾形さんおかえりなさい!」
口から指を離し尾形に言う。
まだ血は止まっていないようで、指から赤い線が細く流れた。
「あわわ」
慌てては流れた血を舐め、止血出来ないかと指を口に含んだ。
「切ったのか?」
尾形が聞く。
「はい、ちょっと。」
詳細を言ったら馬鹿にされそうなので、ぼかして尾形に伝えた。
「……街で情報は入ったか?」
尾形が台所に入ってに近づいて問う。
(デジャヴ…)
「夕張で墓荒らしの噂を聞きましたが、詳細は皆さんが集まった時に話そうかと思います。」
そう尾形に報告する為、口から指を離し喋っていると、尾形がの血の出ている手を掴んだ。
「え?なんですか?」
今朝の首締めの事もあるので、警戒する。すると
パクリ、と尾形がの指を咥えた。
(!!!?)
「えっ!なっなにしてるんですか!」
が焦って尾形に聞くが、本人は答えずにチロチロと傷の部分を舐めている。
「いいから報告しろ。」
尾形が指を舐めながら言う。
光のない瞳はいつのまにか猫の目のようになっていた。
「報告って、だから皆さんが集まった時に言いますって!」
尾形の舌が関節から指先へとなぞっていく。指先にくるとまたパクっと口に含み、熱い口の中で指先を転がした。
は混乱と恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。
「お前は飯の準備があるだろ、その間に俺が土方達に言っといてやる。
さっさと報告しろ、お前の義務だ。」
指の股から赤い舌が顔をだす。
ゆっくりと舐めながらを見つめ、意地悪く尾形は笑った。