第1章 始まり
一歩進む。
心残りはない
一歩進む。
むしろ清々しい
一歩進む。
やっと終われる
一歩、また進んだその先に
足場はなかった
体が傾き重力に引っ張られる。赤と黄色の夜光が縦に線を引く。
10階という高さもあったが、それ以上に落ちる速さで体が寒かった。
視界が白くなって無意識に目をつむる。そろそろ頭が地面に着くと思って覚悟したとき。
ボスンッ
…………………?
衝撃がない。
覚悟していた体の痛みもなく、何かが体を包んでいる。
(え?どういうこと?)
体を起こし、瞬きをしてぼやけた視界を明るくしていくと、
目の前には雪原が広がっていた。