第4章 目覚め
その笑顔を閉じ込めておきたくて、俺は彼女を優しく抱きしめた。
「…一花。」
『ふふっ。どーしたの?』
俺に抱かれてご機嫌な一花。
優しく背中に触れてくる体温がこの上なく愛しい。
誰にも渡さない。
この醜い独占欲は日々大きくなるばかりだ。
『大我、大丈夫?』
彼女が俺の頬に触れる。
俺の汚れた部分に気づかれたくなくて、心配そうに声を上げる一花から体を離した。
「あぁ、何ともねーよ。じゃあ行くか。」
下半身が動かない彼女を抱き上げる。
『うん、ごめんね?』
彼女はいつも申し訳なさそうに謝る。
元はと言えば俺のせいなのに。
「そこはありがとうって言ってくれた方が嬉しい。」
すると、一花は少し照れたように笑い
『大我…。ありがとう。』
俺の首に顔をすり寄せた。
いつもと変わらない二人の朝。
何よりも幸せな時間。
いつまでもこの朝が続くようにと願いながら、俺は一花と一緒にリビングへと向かった。