第16章 相談
翌朝、久しぶりに溜まってたものを出したからなのか体が軽かった。
店に降りれば、昨日の事を思い出す。
広瀬のことを許すつもりはないが、俺たちが一歩進むきっかけになってくれたのは事実だ。
アイツともしっかり話付けねーと。
そんな事を考えながら、下準備を始める。
しばらくすると、広瀬と黄瀬が店に入ってきた。
「はよーっス。」
「…おはよ。」
いつも通りの黄瀬と、昨日の事があるからなのか少し気まずそうな広瀬。
俺としては一花と仲直りできたので、そこまで気にも留めていなかった。
「火神っち、今日調子良さそうっスね。なんかあったんスか?」
俺、そんなに顔に出てんのか…?
「べ、別に何もねーよ。」
「え〜!怪しいっス〜!ねぇ、教えてよ火神っち〜!」
「うるせーよ!さっさと仕事しろ!」
「ブー、ひどいっスよ。ね、芽美っち?」
突然話を振られ、少し戸惑っている広瀬。
「…そ、そうだね。」
そんな広瀬に何があったのか知らない黄瀬は、真剣な表情で広瀬の心配をする。
「大丈夫っスか?調子悪い…?」
「…ううん、大丈夫!…ほ、ほら、早く仕事仕事!」
「う、うん。なら良いっスけど…。」
そして、それからは誰も話すことなく、微妙に気まずい雰囲気のまま開店を迎えた。