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Platonic【火神大我】

第14章 衝突





「風呂になったら起こすから。」

『うん、ありがとう。』

車椅子で部屋を去っていく一花の後ろ姿を見送る。


カッコつけて送り出したはいいものの、やっぱり一花が心配だった。

「大丈夫なのか…?」

俺がそう小さく言葉にした時、


ガタンッ!!


奥の寝室から大きな物音が聞こえた。

俺は慌てて部屋へ駆け込む。

「一花、大丈夫か!!?」

部屋に入ると一花は、何故か悔しそうに涙を流しながら床に手をついて倒れていた。

『っく…!』

急いで一花の体を抱き上げ、ベットに座らせる。

「どうした!?どっかぶつけたか?」

静かに首を横に振る。

「じゃあ何で泣いてんだ?」

『……。』

その問いにも答える気は無いようだった。


「俺じゃ頼りねぇか…?」


俺の弱気な発言にパッと顔上げ目を合わせてくれる一花。

『それは違う!!』

珍しく声を荒げてそう言う一花に、どこか嬉しさを覚える。

『あ、あの…ごめん。でも本当に大我がどうとかじゃなくて、…』

「じゃなくて…?」

なるべく優しく彼女の頭を撫でながら彼女の話を聞く。

しばらく黙ったあと、頭を撫でていた俺の腕をそっと掴み

『私がちょっと焦っちゃっただけ…。』

「焦るってどういう事だ?」

『…一人でもちゃんとしなくちゃ、って思って。』

「…は?」


一人で?ちゃんとする?

なんでだよ。

俺がいるじゃねぇか。…それとも、俺は必要ないってのか?


「そんなの俺に頼ればいいじゃねぇか。」

『分かってる。でも、大我の負担にばっかりなるのは嫌なの。』

「負担なんかじゃねぇ!むしろ俺は一花の側にいれて嬉しいくらいだ。だからそんな事言うなよ…。」

『大我は優し過ぎるんだよ。こんな私に付き合ってちゃ面倒でしょ?本当のこと言ってよ。』

何かを諦めたような一花の発言に思わず腹を立てる。

「さっきからほんとの事言ってんだろ!!一花は俺がどんだけお前の事が好きか分かってねぇ!何があったのかは知らねぇが勝手に決めつけんな!」




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