第12章 予感
ジリジリジリ
カチッ
「…はぁー。」
アラームの音で目を覚ます。
一花はまだ眠いのか、目を開けたり閉じたりを繰り返している。
「まだ、寝てていいんだぞ。」
一花は首を横に振り、
『大我と一緒に起きる…。』
俺の左手を握ってきた。
「なら起きるか。」
『うん。』
いつも通り一花を抱え、洗面所に向かう。
一花の身体を支え、顔を洗わせてからリビングに向かう。
一花をソファに下ろし、朝食の準備をする。
今日は和食にしようか。
「なぁ、一花。朝飯何食いたい…、って寝てるのか。」
昨日の仕事で疲れたのか、ソファでもう一度寝ている。
少し開いている彼女の口に軽くキスをしてから、キッチンに向かう。
今日はお味噌汁と卵焼き、サラダに焼き魚。
まずは、お味噌汁の出汁を取る。
一花のために作る料理はいつもこだわっていたいのだ。
もちろんお店の物もこだわっているけど、彼女のために作るそれは込める気持ちが違う。
一花には俺のいいところを見ていて欲しいのだ。
一花の寝息を聞かながら朝食を作る。
少しの幸せを噛み締めた。