第10章 就寝

「ごめんな、一花。無理させて。」

『だから大丈夫だって！気にしないで？』

「そうか…。そろそろ寝るか？」

『そうだね、ちょっと疲れたから。』


確かに今日は初めての事だらけで色々と疲れたのかもしれない。

改めて気にすると俺もどっと疲れを感じた。


『大我、』

「どうした？」

『私、どこで寝ればいい？』

何言ってんだ、こいつ。

「俺のベッドに決まってるだろ。」


………。


『えぇー！』

「何そんなに驚いてんだよ。」

『だ、だって…恥ずかしいじゃん。』


風呂の時はここまで恥ずかしがってなかったのに、女心ってほんとわかんねー…。


「風呂も一緒に入ったじゃねえか。」

『それは、覚悟してたから入れただけで…。』

「とにかく寝るぞ。」

俺は拒否する一花を無理矢理抱き上げ寝室に向かう。

『ちょ、ちょっと…！』

突然の浮遊感に驚いた一花は、俺の首にしがみついた。

『お、下ろして！大我！』

「無理だ。俺はお前と寝たいんだ。」

『〜っ…！はぁー、何か大我って天然タラシだね…。』

「？どうゆう意味だ？」

『んーん、何にも無い。』

観念したのか大人しくなった一花。

でも、なんか気に食わねー…。

「教えろよ…！」

『なっ、ちょっと！あはは、やめてってば！あははは！」

俺は一花の脇腹を擽る。

すると、面白いくらい身をよじる一花。

「ほら、話せよ！」

『あはっ、ちょっ、分かったから。止めて、お願い！』

擽っていた手を離してやる。

「で、どうゆう意味だ。」

『…何て言えばいいのかな。んー、…要は優しい人だってこと！』

「本当か？」

『本当だよ！今更嘘はつかないよ。』

「そう言えばそうだな。」

また、くだらない事で笑い合ってる俺たち。

不謹慎だけど、怪我したのが一花でよかった。

そのおかげで俺はこいつの側に居られるんだ。



ー俺は今何を考えた？

一花が怪我してよかった？そんなふざけた事を考えるなんて。

俺無しでは生きられなくなればいい。

そんな悍ましい感覚が芽生えたのはこの頃だっただろうか。