第7章 二人暮らし
「「いただきます。」」
俺が作った雑炊を1口食べる。
『…!美味しい!』
驚いたように言う三浦。
「そんなに美味いか?」
『うん!ダシが効いてて味付けも私好みだし、ほんとに美味しい!』
本当に嬉しそうにこちらを見て言う。
…俺はこの笑顔を守れるのだろうか。
「そうか…。なら良かった。」
そう言って少し微笑む。
すると、少し照れたように笑う三浦。
そして俺の方をじっと見つめて…、固まった。
『火神君って、よく食べるんだね。』
「おう。これでも足りないくらいだ。」
『そっか…。何か私、火神君のこと何も知らない。今だって、こんなにお料理が上手だなんて知らなかったし、こんなにたくさん食べることも知らなかった。』
確かに…。俺も思い返してみれば三浦のこと、よく知らない。
『だから…!これから、火神君のこともっと知っていきたい。』
嬉しかった。
それと同時に
"誰にも取られたくない"。
黒い感情が俺の中に芽生えた。
その感情を押し殺すように三浦の手を強く握る。
「俺も。三浦のこともっといっぱい知りたい。…だから、俺には隠さず全部見せてくれ。」
最後の発言は余計だっただろうか。
でも本心であることに間違いはない。
少し驚いたように目を丸くさせた三浦だが、すぐにその目を細め、俺の手を握り返してくれた。
『もちろん。私には火神君しかいないから。…だから、火神君も隠さず全部見せてね?』
「当たり前だ。」
俺たちはまだまだ不器用だ。
ただこの愛だけは嘘じゃない。
その事を改めて実感した瞬間だった。
「なぁ、三浦?」
『どうしたの?』
「あのー、そ、その…。」
『ふふっ。どーしたの、火神君?』
「名前で呼んでもいいか?」
『…えっ?』
「ダメか…?」
『い、いいに決まってるじゃん!その突然だったからびっくりしただけ!』
「そ、そうか。…一花。」
『へへっ。なんか照れるね。』
「一花。」
『なーに?』
「一花、…愛してる。」
『…私も、大我君のこと愛してる。』
ーー俺たちはまだまだ不器用だ。