第6章 告白
俺たちは無言で抱き合っていた。
俺の肩口にある小さな頭が堪らなく愛おしかった。
しばらくそのままでいると、俺はもう一つ大事な事を伝えるべくおもむろに口を開いた。
「なぁ、三浦?」
『ん?どうしたの?』
「俺がバスケを辞めるって言ったらどうする?」
そう言った瞬間、三浦は俺から体を離し俺の顔を自分の両手で包み込んだ。
『火神君。それは私の為?それとも本心?』
まさか、黒子と同じようなことを言われるとは思っていなかった。
『もし、私の為にバスケットを辞めると言うならそれは間違ってる。』
思わず後ずさりしてしまうような、意志の強い目で俺の目を真っ直ぐ見つめる。
『私、火神君にとってバスケットがどれだけ大切か知ってるよ…?私、火神君がバスケットの話をしている時の顔が大好きなの。本当に輝いてて、羨ましかったくらい…。』
「だけど、俺がバスケのこと考えてたせいでお前は…!」
三浦は笑顔で首を横に振り、
『私、火神君のせいだなんて思ったことないよ?むしろ、火神君から大好きなものを守れたのかもって誇らしいくらい。』
こう言った。
どこまで優しい奴なのか。
溢れそうになっている涙を隠すようにもう一度三浦を抱きしめた。
『だからバスケットは続けて欲しい。これからも輝いてる火神君を私に見せて…?』
三浦は切実な声で俺にそう言った。
そうだ…、俺の身体は三浦に助けてもらった物だ。
俺がバスケを辞めるなんて無責任な事言ってちゃいけない。
これからは三浦のためにバスケを続ける。
俺は心にそう決めた。