第5章 追懐
「言っておくが、君に拒否権は無いよ。これは『命令』だ。やりたまえ」
「う…」優凪の首元にナイフが伸びる。その距離、僅か数ミリ。この男は本気で自分を殺す気だーーー
そう察した自分が何をしたのか。後は分かっていたーー
だからこそ『今の自分』は強く心の中で叫んだ。
「「「「「「止めて!!!!!!」」」」」
******
「さて、もうそろそろ彼女が『思い出してる』頃かな」
太宰はそう呟くと、屋上から最上階のフロアに移動した。織田作も其れに追随する。
「何をだ?」
「決まってるじゃないか。…彼女の記憶さ」太宰は振り返り云った。