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死の舞踏

第7章 幕開


パン!パン!パパン!!
優凪が足を踏み入れた瞬間、いきなり大量のクラッカー音に包まれる。


此処はとある闇医者ーー森鴎外の診療所。初出勤した優凪は思わぬ歓迎に驚きを隠せず、暫し入口で立ち竦んだ。

「おはよう、優凪君。まあそこの席にでも座りたまえ」
森に勧められ、何が何だかという様子でテーブル横のスツールに腰掛ける。
クラッカーを鳴らした面子は森鴎外、エリス、太宰の三人だった。因みに今回は後ろに織田作も同伴している。

「改めてーーようこそ。限りなく白に近い裏の世界へ、優凪君。君の今後の活躍に期待しているよ」そう云って微笑む森。
「有難うございます…森先生。」森の事をなんと呼べばいいか悩んだが、医者である事を鑑みてそう呼んだ。

「さて、君には前々から説明してた通り、普段は最下級構成員として活動、休日には此処に来てもらって看護助手として働いて貰うよ」「はい。宜しくお願いします」ぺこりと頭を下げる優凪。

「ところで君は…織田君だったかね」「はい」
「君もこっちに来たまえ。今日は記念すべき日だからね、特別な料理を振る舞う積もりなのだよ。量もあるし、君も食べて行きたまえ」
「かしこまりました」織田作が頭を下げ、優凪と同じテーブルにつく。

そこにはケーキやチキンやら、様々な料理が用意されていた。この数人のうち3人は年端もいかない子供である。此れで果たして食べ切れるのだろうか?と甚だ疑問だ。

「こんなに沢山…有難うございます」
「気にせず食べたまえ」礼を言うとニコニコと森が返す。優凪はじゃあとケーキの皿を手に取り1口食べる。程よい甘みのチョコレートケーキだ。美味しい。

各々が料理に手をつける中、太宰だけはぼんやりとフォークをクルクルと手で回していた。どうも気が乗らない、と云った様子である。
折角これから長い付き合いになる予定なのだ。この宴に招かれた主賓者として、何かしらの話題を提供すべきだろうか。

「…太宰さんも食べないんですか?これ、美味しいですよ」
「んーー…今食欲無くて。あ、洗剤だったらいけるかも」
「……自殺願望でもあるんですか?」
「そうだけど??」真顔で答える太宰。

真剣な口調で言えばいいってものでも無いのでは。
そう思いつつ、適当にそうなんですねと受け流した。
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