第7章 旅行
廊下を進み、同じ番号の書いた部屋についた。カードを差し込み口に入れると、鍵が開いた。待ってくれ鍵穴がない。そんなバカな。和室の部屋だぞ。
「科学の文明は確実に進化してますね」
なんてアホなこと言った思考は、景色を見て吹っ飛んだ。なんて凄いの!!
靴を脱いで一目散にかけた大きな窓を目がけて、めいいっぱい叫んだ。
「うわぁあ!すごーい。綺麗ーーー!!めっちゃ素敵です!なにここ!超広い!景色が最高!」
海が見える。壮大な海。真っ白な白浜!あーー泳ぎたい!いまは冬だ。それはむりだ。夏だったら花火もできそう。
「ステキですね、田中先生」
となりに並んだ先生も景色を見て目元を緩めた。
「ああ、本当だな。あー残念だな。夏なら泳げるんだがな。お前の水着姿見たかったよ」
自然だった。わたしの肩に田中先生の大きな手が触れた。そのまま指はわたしの頬に向かう。
「な?来て良かったろ?」
目を細めて声が近くなる。わたしが目を閉じれば、唇が重なった。甘い長い長いキスがおりた。
「……んん…は、はい」
目が潤んだ。こんなステキな和室の見晴らしの良い部屋で泊まれるなんて、凄くしあわせだ。
「よし、じゃあ行くか、さっそく」
田中先生は、くるりとドアに向かって歩く。長距離運転で身体が凝ったのか、首を回したり自分の肩を揉みながら。
「え?どこに?」
背中に聞いた。なんで?いま着いたばっかなのに。わたしが聞いても、先生は止まらないで部屋の扉に向かった。
「は?なに言ってんだ。遊園地行くんだろ。まあ、寒いからなあ、すぐ終わりそうだがな。あと、なんだ、水族館もだろ?」
頭を田中先生は、
ぽんぽんと撫でた。
「あ、そうだ!そうだった!」
わたしは目を光らせる。ウキウキな気分で、斜めがけの鞄を揺らして、靴を履いた。