第6章 先生のお家 R18
時間も忘れて、夢中になって、マウスやペンを好き勝手使っていたとき、誤って別のボタンを押してしまった。
「あ、ヤバ」
間違えた。
画像を開いちゃった。
閉じようとしたとき、わたしはその手を止めた。先生の作品データフォルダを見つけたのだ。
勝手に見ちゃダメだろうなと思った。
ああ、指が勝手に動いてしまう。
わたしは、自分の欲望に勝てない。
「ん?なにこれ?」
先生の画像フォルダを開けると、大量のデザインの作品があった。人物画や動物画やデザインが多い。
初めて見るはずなのに、わたしは見たことがある。どこかで……。CM? スマホのCMだったはず。デジカメのCMでも見た。ラフ画もあった。キャラデザの作品も。……?ゲーム?
どうして先生の作品の中に
あるのだろうか。
見入ってしまう。
先生のデザインの仕事だろうか。
「はいストップ」
と、後ろから声が聞こえて、
慌ててフォルダを閉じた。
「あ!先生、早いですね」
とわたしは急いで振り返った。心臓がバクバク叫ぶ。勝手に見たから怒られてしまうのでないかと先生を見たが、意外にも普通な表情だった。
「そうか?結構長い時間入ってたが。ほら、市川も入って来い」
と田中先生は、白のバスタオルをわたしに渡した。
先生、ジャージ姿に頭にタオル。
なんか新鮮。かわいい。
でも気恥ずかしい。
先生を直視できない。
「さっきの、先生が作った作品ですか?」
「デザイン会社の友人に頼まれたヤツだよ。俺をご指定でな。まあ、大したことない。ほら行ってこい」
と、わたしを椅子から立たせて
背中を押すが、いや、大したことある。
「じゃあ入ってきます」とわたしは
カバンから着替えを持ってお風呂場に向かった。