第1章 12月7日
ブレザーの制服を着たわたしは、田中先生から、紳士にエスコートされるように、両肩を掴まれしっかりとパイプ椅子に座らされた。
ほら、市川?さあ、名前と日付けを書くだけだよ?なんて優しく笑うけどさ、微笑が恐いよ。
書かなければ留年。
書けば奴隷
いや違う!まだ確定じゃないから!
でもね、ほぼ決まったようなもの。10対0ツーアウト走者無し、バッターは草野球レベル。ピッチャーはノリに乗ってノーヒットノーランを目前とした来年メジャーに行くような男。
とりあえず言いたいことは、
観戦しなくても、ほぼ負けが決まった試合だということ。
兎に角、話は戻すけど、今日は、12月7日。あれ、今日を入れたら、あと4日!?無理無理無理だから!
鬼だ。間違いなく鬼だ、この先生。イケメンヅラして優しそうな顔してるけど、中身は超絶な鬼教官なんだと、この時初めて知るのだった。