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先生とわたしの恋物語

第5章 奴隷として



「ん……、せんせ、い……どうしたの?急に……!」

抱きしめられたまま、唇を合わせていれば、舌が侵入してくる。

「……、ん、んん……」

先生の息づかいが荒い。はぁっと息を吐いた田中先生がにっこりと笑う。

「これぐらいせめてしろよ」

「……っ!! む、むりです!こんなのしたことない!」

ぎゅっと先生の身体にしがみついた。抱きついて気づく。ああ、わたしはひっつくのが好きかも。すごく気持ちいい。

「先生、良い香りがする」

甘い大人の香水に変な気分になりそう。あたたかい身体に触れていた。

「市川、ほどほどにしろよ。このまましちゃってもいいなら存分にして良いけどな」

え!


「……っ!だ、ダメですよ」

この前だって見つかりそうで危なかったんだから!

わたしが慌てて離れて焦った顔をすると、田中先生は頭をポンと撫でた。柔らかい大きな手のひらが頭に触れる。

「そうだな、ゆっくり落ち着いてやりたいよな。誰にも邪魔されずに。よし、わかった」

「……はい。……ん?え、先生?」

「親に電話しておけよ、今日遅くなるって」

そう先生は言うと、わたしを下ろして、机に向かい、ペンを走らせた。

呆然と立つわたしは、よく分かっていない。なんの話?


「あ、市川、じゃあそこの棚に
ある書類整理しておいて」

「は、はい」

わたしは言われたまま作業を始める。

静かな美術室。

たまに先生の背中を見た。美術の課題やテスト問題を考えているみたい。

先生はスイッチが入ると、物音にも動じないようになる。黒いカッターシャツの後ろ姿はいつもカッコいい。

わたしも書類整理を勤しんだ。



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