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先生とわたしの恋物語

第4章 バイト


今日はやけに女性客が多い。新人君である仁君だろうか。


レジや接客をわたしが一通り教えた。いとも簡単に覚えていくスーパー新人君。私が1カ月かかった仕事内容を一日で理解している。天才じゃないの??

いや。こういう人が
仕事ができる人と言うのだろうなあ。



「仁君は、どこかで働いていたの?」

レジの会計を済ませ、買い物袋をお客さんに渡したあと、となりにいたから聞いてみた。

今、客足は遠のき、店内は落ち着いている。


「あー、うん。やっぱり分かるー? えーとな、焼肉店とカラオケ店と、スーパーのレジをしてたなー」

なるほど。だから札を数えるスピードが早いのか。銀行員かと思ったよ。

「そっかー。だからかー。わたしの指導なんて、ぜんぜんいらないみたいで凄いね。早いし丁寧だし、凄いよ!」

「凄い、2回言うてんで」とニィッて笑う仁君。

「あ、ほんとだー、あははは!」

笑ったら仁君も笑顔のまま。なんだろう。高校じゃ男運がないと嘆いていたけど、バイトじゃ来たかも!と喜んだわたし。背後の存在に気づかなかった。



「コーーラ!」



空気を真っ二つに切る声に、顔を硬直させてしまう。振り向いて、小さく落ち込んだ。しまった。今日、この人も出勤だったのか。


「私語禁止。ダメよ、お客さんがいなくても靴の整理や倉庫から補充すること。常に人から見られてるって意識しなきゃ」


「は、はい。そうですよね、すみません……」

「いや、俺も悪いんです」

と庇ってくれる仁君。なんてイケメンなの……!って感動した。

目の前の先輩にはいっさい通用しない。さらに火に油だった。まゆ間のシワがいっそう深くなる。あーやっちゃったよ。


「仁君は、私が指導するわ。あなたは紳士靴の方にいなさい」


ビシッと真っ直ぐに腕を上げて、
人差し指を紳士靴コーナーに向ける。あーーはいはい。すみませんねーー。


このキツーーいお姉さんは、エリカさん。目鼻立ちが整い、美人でスタイルが良くて顔が綺麗。茶色いストレートヘア。ただ、言い方はいつも厳しい。でも、店長よりも信頼出来る素晴らしい人だ。


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