第4章 バイト
はあ……。バイト行こ。
わたしは、裏口の扉を開け、中を突き進んだ。倉庫の横にあるタイムカードをファイルから取り出し、カードを切った。出勤記録をつけた。
時間は5時47分。
さあ仕事だ。
廊下を歩き、自分の名前プレートを発見。ロッカーの鍵を回し、ドアを開けた。
学校鞄を中に入れて、ハンガーにかけた黒のエプロンを取る。腰から膝までの長さ。後ろで交差させ、前で蝶々結びをした。
黒のエプロンのポケットには、メモ帳や赤、青、黒の三色ボールペン。それから靴の小型の黄色いヘラ。お客さんが靴を履くときに使ってもらうものだ。
スカートの中には、下着の上から黒パンを履いた。接客中、パンツ丸見えなんて恥ずかしい。靴屋は屈むことが多いのだ。上半身も気をつけないと夏は困る。谷間を見せつけてしまうのだ。
「…………」
腰が重くて足がおぼつかない。今日はサボるかなあ。ってか最近客が他店に取られているのか、客足がまばらだ。
明日から奴隷……。
シフトも出さなきゃ。
"市川……好きだ…"
バッと自分の手を口に抑えて、だれもいないのに周りを見渡した。目が丸くなる。 バカだバカ!
あーー、なにを思い出してんの、私!
田中先生との情事を思い出してしまった……。
ああーー……顔が熱い……もう……どうして、今日バイトなんだろうか。
はあ……。好きだなんて言われたけど、奴隷……。
田中先生のそばにいれることは嬉しい。バイトも休日だけ。
ただ周りの目が恐いよ。
「…はあ、……さあ仕事だ」
倉庫の扉を開けた。