第3章 12月10日 R18
「田中先生? な、何してるんですか!?び、びっくりしますから、止めて……ください……よ……」
ぞわりと背筋を冷やしていた。まさか、まさか、こんな所で始めるわけ……無いよね!?無いよね!?
先生の男らしい腕は、簡単に わたしの手から擦り抜けて、肩を掴まれる。
「…………惚れてるって言ったよな?お前を、俺は本気で愛してる。優しくする。受け入れろよ。俺を」
な? と言って優しく見つめてくる。その眼差しは暖かい。けれども、私は狼狽している。
「い、今、受け入れ、受け入れろって言いました? あの、あの、田中先生!?」
経験皆無な わたしは
真っ赤な顔になって困ってしまう。
「初めてなんです!わたし!」
「大丈夫だって、優しくするから」
先生に肩を強く押されて、斜めに傾き、ソファに寝転んだ状態にされてしまって、目をひん剥いて仰天していた。
「田中先生! あ、そうだ! わ、わたし、今日バイトがあって……」
この状況から、兎に角、逃げてしまおうと、慌てて起き上がった身体は、敢え無く阻止されてしまう。
「駄目だって。罰を受け入れたら行っていいぞ? バイト」
両手でがっしりと肩を掴まれ、立つことが出来ず、私は先生に、見下ろされていた。
それにな、と田中先生は話を続ける。
「バイトは6時からだろ? まだ4時前だ。十分余裕があるじゃねーか。 バイト先は学校から近いし、5時半に学校出たら間に合うだろ?」
と天気みたいに、あっけらかんと喋るけれど、いや何でそこまで知ってんの!? また眼鏡担任!? いやいや場所まで知らないでしょ!?
「……っ!? え、えぇ!? ど、どうして、知ってるんですか?」
何で!?そうよ、どこでそんな情報を!?