第2章 12月7日 夜
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夕食をご馳走になった帰り道、先生が「ちょっと寄り道したい」と、綺麗な夜景が見えるという穴場スポットへ連れて行ってもらった。
「わぁ……綺麗……」
路肩に止め、
車内の、フロントガラスから見えた景色は、街を一望出来る素敵な場所で、キラキラ光る光景で、つい見入った。
だけど今日は、
平日だからだと思う。
車も殆ど通らなくて、わたし達だけ。ドキドキしっぱなしだった。
*
「田中先生? 先生は、どうして、その…」
キスしたの? を言えずにモジモジしちゃう。だって恥ずかしいし、やっぱり、揶揄われただけ、だったら嫌だった。
田中先生は、前を向いたまま、小さく笑う。
「……前々からずっと……気になっていたからな、市川に。お前は全然俺に関心なさそうだったけどな」
その言葉を聞いて、目を真ん丸にして田中先生を見る。
「え……⁈……先生……? 今信じられないようなフレーズが聞こえたんですけど……??」
今、耳を疑うような言葉が飛んだ。頭は軽くパニックになってしまう。
先生が……わたしを気になっていた!? 好きって事!? え!? ええ!?
先生は、少し苦笑いを浮かべ缶コーヒーを、車用ドリンクホルダーに置いて、私の方を向く。
「市川が受験終わるまでは、気持ちを抑えていたんだ。 可愛いくて、真面目で純粋無垢なところが、俺は、良いなって思ってる」
ふわりと笑うけど、少し田中先生の顔は赤い。いつもの先生じゃなくて、恥ずかしそう。
「本当に!?……先生、嬉しい!」
シートベルトを外した先生は、わたしを抱きしめてきた。