第2章 12月7日 夜
「っ!!え!?……先生!?」
「あ? シートベルト締めてねーよ、お前」
わたし のベルトを締めて田中先生は、
笑いながら、くしゃっと頭を撫でる。
「市川、変な顔すんな」
「だ、だって!! ち、近いんです!田中先生が!!」
こんな間近で喋られたら心臓が持たない!!先生、黒のコート姿が似合って芸能人みたいだし!笑ったら、イケメン度3割増しだし!
しかもさっき、またチュウしちゃったし!!無理無理…もう絶対好きになってる。完全に好きになってるし!! 先生のバカァ!!
「は、早く行きましょう? もう いっぱい いっぱいなんです!!」
真っ赤に照れながら言うと、先生は笑って、エンジンをかけ、車を発進させた。
田中先生の横顔は、大人で、格好良くて、こんな人と付き合えたら幸せだろうなぁ、て眺めていた。
ハンドルを握る先生の二の腕は、デザインの先生の割に、意外と鍛えている。男らしい姿に、つい、グラっとして見惚れてしまう。
田中先生…………好き……。
わたしは 簡単に堕ち、
目をハートにして、ずっと見つめた。
「男の人の助手席に座ったの……初めてです。いつも、後部座席に座ってるので…………」
「それは良かったな」
と先生は言って、ポンと頭を撫でてくれる。もうそれだけで、涙が出てきそうなぐらい、顔が緩んでいた。