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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第11章 〜喫茶ポアロに、事件の残り香〜





コナンと沖矢が神社で恐ろしい体験をしてから、実に六日が経過した次の土曜日。昼頃の毛利探偵事務所は、依頼が一つも来ない暇な状況が続いている。窓のそばで事務机の上に両足を乗せて、椅子に座りながら経営主たる毛利小五郎が競馬新聞を読んでいた。そして対面するように配置された二つの黒いソファーの片側に腰掛け、テレビのニュースを心ここにあらずな状態で聞く毛利家の居候、江戸川コナン

彼はあれから何をするにしても集中出来ず、意識が薄ぼんやりとしては、睡眠が浅く、食事もろくに摂れずにいた日々だ。蘭にも、挙句小五郎からも心配そうな眼差しを向けられ、学校でさえも皆から怪訝そうに見られた

それと言うのも、ずっと脳裏を占めて離れてくれない事象がある。まるで抜き身の刃の如き威圧感を思い出すのだ。ふとした瞬間、何気ない日常でフラッシュバックを起こし、感覚が蘇っては恐怖で身体が震えてくる。その度に、クソッと低く吐き捨てる言動が続いた。まさに悪夢の日々と呼ぶに相応しい出来事だろう

しかし、重要な問題はそこだけじゃなかった。彼らの放った本気の殺意や、敵と定めた者への容赦のなさ、浮世離れた容姿と雰囲気、主人たる麻衣に対する過剰な庇護欲と愛情。どれも並みの人間から逸脱している。只人ではない、と言った彼らも自覚はあるようだった。ならば、


「(……あいつらの言った『只人』ってのは一般人のことか?だけど、それにしては含みがあったような───)」


いいや、馬鹿馬鹿しい考えだ。コナンはすぐさま首を横に振って思考を止める。まるで清光達が人間じゃないと認めるようだ。そんなモノなど存在しない。けれど否定しても、コナンの奥底に蟠った違和感は拭えなかった


『二人して偽名を使って、俺達の主人に近付いたのか』

『ですが、われわれが『ただびと』ではないのはみとめます。そしておまえたちをせんさくをしたり、ふかくかんしょうしないことも』


そう言った彼らは、宣言通り微塵の興味も探りも見せず、コナン達など眼中にないという冷たい態度を崩さなかった。嘘をついている様子がない。本当に何も知る気が無いのだ。だからこそ、不気味な事実が頭を離れなかった


「(……『江戸川コナン』と『沖矢昴』は確かに存在しない人間…。一体どうやって、見抜いたんだ?)」


単純に勘が鋭いだけでないだろう。きっと調査もしていない
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