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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第9章 〜偶然か必然か、縁は導く〜





その日、麻衣が外出したのは只の気まぐれだった。特に大した用があるわけでもなく、軽く出歩く程度のものだ。護衛は近侍に鶯丸を据えて、その付き添いで大包平と、平野藤四郎を連れている。位置は麻衣を中心に、左右と背後───左に平野、右に鶯丸、背後に大包平がいる状況───で、周囲の注目を集めていた

と言うのも、付喪神たる刀剣男士の浮世離れた見目は勿論、人間の麻衣も美女が羨む可憐な美貌の持ち主なのだ。容姿端麗な男女の集団に、周囲の恍惚とした視線が刺さった。そんな中、三振りは麻衣と歓談しつつ、隙のない警護を行なっている


「もう結構な距離にきました。彼処の喫茶店で寄り道しましょう」


不意に、麻衣が足を止めて三振りにそう提案した。彼女が『彼処』と指した先には割と大きめの和風喫茶がある。場所は道路を挟んだ反対側で、奥行きが広い一階建てだ。人気の店なのか席はあるが、客が大勢いる様だった。それを見てコテン、と首を傾げた鶯丸が、今いる道路の先を指差す


「いや、彼処は人が多いな。目立って休憩出来ないと見た。この先のレストランは如何だろう?」

「この先?私の視野より外に、別の飲食店があるんですね」


鶯丸の言う喫茶店が見えなくて、麻衣は即座に理解した。ヒトが視認しきれない距離で、レストランを探し当てたのだと。彼女の確認のような台詞に、平野がコクリと一つ頷いた


「如何やらそのようです。遠くじゃありませんし、彼方の方に行きますか?」

「俺はどちらでも賛成だ。主が手前の喫茶店で良いなら、そこでも別に構わん」

「ならば、鶯丸と平野が見つけた奥のレストランの方にしましょう」


彼らの最終的な決定権は、主人たる麻衣が持っている。平野と大包平の言葉も聞き、鶯丸が薦めた方を選んだ。その為、彼らは手前の喫茶店をそのままのんびり通過した

まさか、目指したレストランで新たな出会いと、再会があるとはこの時、思いもしなかったのである───
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