第5章 〜怪盗キッド対策会議
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東都の高層ビルの中に、警視庁の建物が存在する。見上げて貫禄を覚えるそれは、流石、国の守護者と言うべきだろうか。管轄で起こっている数多の事件も、其処に犯人を捕らえて解決するのだ。そんな彼らは、多忙な日々を慌ただしく過ごしているのである。
そして、中でもこの日の警視庁は、緊迫した空気を醸し出していた。理由は『怪盗キッド対策会議』と呼ばれる、上層部と被害者と探偵を交えた、大きな話し合いがあるからだ。
その為、会議に参加する榊麻衣と護衛の大倶利伽羅───伊達廣光は、当事者と言えど悠然とした態度で警視庁を門から見上げた。この日の装いは、麻衣が桜模様で桃色と紺色の袴姿、大倶利伽羅は戦装束の甲冑部分を外した服である。
「……正直、言い争いは好みませんが。お家の為に奮闘しましょう」
「……」
ポツリと呟き、苦笑いと共にやる気を出した麻衣の隣で。彼女の一振り、大倶利伽羅が面倒そうにため息を吐いた