第24章 〜疑わしきは、誰なりや〜
正直、沖矢から見たコナンは大人顔負けの頭脳を認めはしたが、衝動を駆られて謎を求める姿は良くも悪くも子供のままだと思っていた。いつも不審な物事があれば只管に興味を持ち、誰より鋭い故に確実に何かを全て暴ききってしまう。それはもう正に、彼が憧れてやまないシャーロック・ホームズ、最高の名探偵のように。だからこそ沖矢は驚いて声も出なかった
この世に解けない謎はない、どれだけ不可能なものも必ず暴いてやる。そう豪語して猛進してきた彼が、よもや神職の者に頼ろうとしているのだ。それも血迷った自分達が悪質な手段を取り、刺激してもっともな悪態と恐怖心を植え付けられた相手に
「……だから今から麻衣さんのとこに行ってくる。灰原は気まずいだろ?先に沖矢さんも二人で帰っててくれ」
「いえ、九十九神社はだいぶん離れているでしょう。時間がかかります、やはり一緒に行った方がーーー」
「ダメよ、冷静になりなさい。深く関わらないで無視するべきよ」
沖矢が押しを強く同行しようと粘る中、横から意見を出した灰原が有無を言わせぬ風に提言する。すると二人は同時に灰原に目を向け、コナンが「なんでだよ」と不可解そうに説明を要求した。それに灰原がコナン達へ返した言葉といえば、判断が早計すぎると咎めるものだった
「貴方達は公園で見かけた黒いナニかを、例の噂関連だと睨んでるんでしょう?それは断定するには早いんじゃないかしら、アレはただの一言も喋っていなかった。共通点は見た目だけよ、別々にいるかもしれないわね」
「いやいや、それはそれで十分やべぇって……」
「だけど分からないわよ。偶然全身が黒ずんで見える何かがあったのかも、私達がそれに充てられて怪しい人間として錯覚してても変じゃないわ。大体少し前の貴方は噂の影も、見た目が大袈裟に吹聴されただけで信憑性がないって言ったじゃない。実際噂を信じ込むタチでもないし」
指摘されて以前はそうだと思い直したコナンは、「そうだけどよ…」と呟いた後に口を閉ざしてしまう。以前なら灰原が言うままの結論に達し、異様な気配にのみ懸念しただろう。沖矢もそんなコナンが普段と違う様子に何かがあると感じ、止める事すらやめて探ろうと同行しようとする始末。「まぁでも、どの道気味が悪いのに勇んで近づくものじゃないわ」と言い、コナン達を止めた灰原に逆にコナンがジト目を返す
