第20章 〜大阪心霊現象ミステリー 迷惑電話編〜
どうして驚かないのか、怯えないのか、慣れているのか。そして自身に降りかかった不思議な体験すらも、どうしてその絡繰りに疑問を持つことさえしないのか。現実主義な二人の若き探偵達は、素朴で核心を突いたような問いが怖くて聞けなかった。否、聞かなくたって理解してしまったのだ
コナン達は探偵と巫女、その違いを単純なものと思っていた。この世に解けない謎はない、オカルトなんて迷信だ、というのが持論だった。ずっとその考えは変わる事なくあるが、しかし、システム的に出来ないものは出来ない。死者との会話も胡散臭く、悪戯にしては一般人が考えつくには度が過ぎる。そも第一に、どうして三船夫婦にかかっていた電話が麻衣の使えない端末に来たのか。回線と番号無くして、相手と己の声を繋ぐ事は不可能だというのにーーー
そんな理屈が成り立たない尽くしの中で、渦中に立った麻衣は気分を害しただけだった。そう、巫女を務める彼女にとって、あり得ない現象でさえ起きて当前なのだ。コナン達が殺人事件に慣れてしまっているのと同じく、彼女も仕事でこういった未知に何度か遭遇したのだろう
経験がなければ慣れは無い。起きても可笑しくないから冷静であり、パニックにならずに思考する余裕がある。つまりは、そう言う事でしか無いのだ