第19章 〜大阪心霊現象ミステリー 初日編〜
「そうでしたか…。その驚き様では、さぞかし似ていたのですね」
失礼だったかと慌てながら謝る安室であったが、似ていると言われて納得した数珠丸は殊更優しい声で笑みを深めていた。これに目を見開いた安室は、彼の放つ神々しいオーラを感じては息を呑んで惚けた。やはり無性に旧友と似ている声が耳と心によく馴染み、見目の通り非常に穏やかすぎる雰囲気は妙な心地よさを生み出すばかりであった───
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同日のお昼頃のこと、江戸川コナンは毛利小五郎と娘の蘭と共に新幹線で大阪までやって来ていた。彼らが大阪まで移動してきた経緯は、探偵事務所に舞い込んできた依頼と服部平次からの連絡である。元々、依頼は服部からの連絡が来る数日前に手紙で届けられており、受理する事にした小五郎が何通か依頼者との文通を行なっていたのだ
そこへ服部平次からのコナンに向けた連絡で、小五郎に依頼した内容が彼の方にも届けられていたというのが判明した。服部としては、コナンと蘭も付き添いでどうかと誘うつもりだったのだが、彼らも依頼を受けていると聞いて大阪駅での待ち合わせと相成った
そうして小五郎達は電車で大阪駅まで辿り着くと、二階にある乗り場からエレベーターで一階に降りて改札口を出た。東都には及ばずながら、西部の都会とあって通勤ラッシュを過ぎた時間も行き交う人間達でごった返しの状態だ。大阪駅は大きなショッピングモールの出入口と融合した様な状態にあり、人混みの中を縫って出ながら自動ドアやショーウィンドウを通り過ぎて車のロータリーに数分かかって到着できた。無論、小学生の体格のコナンは逸れないよう蘭から提案されて手を繋いだらしい。何とかコナン達がロータリーに着くと、そこでは年季の入った帽子をかぶる褐色肌の青年と、ポニーテールで活気溢れる雰囲気を持った年頃の少女が二人でコナン達に両手を振っていた
「……お〜い!待っとったで三人とも!」
「うんうん、蘭ちゃん久しぶり!コナンくんも蘭ちゃんのお父さんも!」
「服部くんに和葉ちゃん、ホントに久しぶりだね!」
青年の方がコナンに連絡を回した張本人の服部平次、その付き添いで来たのが彼の幼なじみであった遠山和葉だ。蘭は二人に再会の挨拶をかけ、和葉の方に駆け寄っていくと女性二人で互い両手を取り合った。笑顔で喜び合う光景は非常に微笑ましい
