第18章 〜少年は現状に不満を抱く〜
しかし中身まではきちんと見ずに持って来た為、学校に来て準備中に発覚すると使用するのに恐怖が蘇って来たらしい。如何やら歩美の持参した新聞だったようだ。元太と光彦の方も怖気付いて困っていたという。思わずそれを聞いて、コナンは苦笑いを漏らした
「そんなに嫌なら、俺のと交換するか?」
「え?!」
「ちょっ…大丈夫なんですか?!」
「ああ。歩美ちゃん、貸してくれ」
目を開いて驚く三人を他所に、コナンは自分の分を渡す代わりに机上の新聞を持ち去った。その一連の動作の後、固まっていた三人が「あ、ありがとうコナンくん!」と一泊おいて目を潤ませていた。彼らに大袈裟だなぁ、と反面やはり幼い子供なのだなと思ったコナン。彼は一先ず自分の席に着くと、手早く荷物を整理したら件の新聞を出して目を通す
「……あら、それって何日か前の事件の記事?」
「うおっ?!灰原…っ」
集中して読み始めてから数秒経たぬ内に、もう一人のコナンの友人が背後から声をかけて来た。彼女は灰原哀、コナンと同じく毒薬で幼児化したしまった女性。けれどその薬品は、彼女が『シェリー』というコードネームで組織にいた時代に、親から継いだ完成させた物。今はコナンと同様、組織に対抗しようと奮闘する数少ない同士である。コナンは灰原の事を振り返って、彼女が新聞を不愉快そうに睨みつける顔と向かい合う
「まったく、その事件を今更勘ぐったってどうするのよ?一応ここは小学校なんだから、そんな気味が悪い事件の記事はしまって頂戴」
「つってもよ、この記事は家で見ようとしたら蘭や小五郎のおっちゃんに邪魔されちまったやつなんだ。もしかしたら新聞にだけ書かれたことがあるかもしれねぇだろ?」
「はぁ?だとしてもダメよ、他の子達に悪影響だわ」
コナンの言い分をバッサリ切りつけた灰原は、そのまま不機嫌そうに大きな音を立ててランドセルを置いた、そして自然と集まる子供達の視線、灰原の前に座るコナンは注目されて渋々新聞を畳んで机の中に仕舞い込んだ。次いでコナンは思わず、苛立ち紛れに深いため息を吐いていた
そうして時が進んで、小学校の授業が終わった放課後。少年探偵団のメンバー五人で帰宅し、道中に全員と別れつつもポアロの前まで辿り着く。そして何気なく、ふと店内に目向けるとカウンター席に麻衣ともう純白の男が座って安室と話していた