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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第16章 〜山姥伝説 後編〜



「(……まさか、こんな事になるとはな)」


全く予想だにしない展開に内心で失笑する降谷。彼は彼方側をある程度把握しており、これがどれほど重要で厄介な事かは承知しきっていた。風見も麻衣達の調査を手伝った身として、それなりに少しは理解している

そんな二人は当日に思いを馳せて、何とも言えない複雑な心境でいた












これは少し遡って、シユカメ山の事件が報道された三日後の事。麻衣は再び現地の周辺を訪れ、「KEEP OUT」と書かれた黄色のテープの中、村へと続くシユカメ山に足を踏み込んだ。しかし以前と違って、その服装は神社で使う巫女装束を着込んでいる。付き添う護衛の刀剣達も、黒い喪服を着込んだ加州清光と山姥切長義だった

この日、彼女は一日かけて、夕方に漸く村と山全体の御祓いを済ませていた。そして御祓いが終わった後、山を挟んだ隣村側に下山し、駐車場に停めた車で帰るだけだった。運転は長義が担当し、後部座席に麻衣と清光が並んでいた。そうして車内に無事に乗り込んだところで、麻衣が長義に声をかける


「……これで一先ず、私達の管轄内は落ち着きました。志保と明美さんの調査の報告を貰えますか」

「ああ…。それは良いけど、主、今日は疲れているんじゃないのかい?確認は明日に回した方がいい」

「いいえ、あまり良い報告ではないのでしょう?ならば、尚更今すぐ確認したいのです。お願いします、長義」

「……」


少し気疲れしている顔の麻衣に、長義が気遣う言葉をかけるも彼女は頑として強がった。そんな気丈なまでの意思の固さは、これ以上何か言う事も憚られるぐらいで。長義はあまり良い顔をしないないが、半ば根負けする形でUSBを麻衣に手渡した。その時、溜息が出たのは仕方がない

そのまま麻衣は、仕事中に所持する携帯に似た端末にUSBを差し込んだ。その状態で電源起動すると、ホログラムが現れデータを読み込み始める。その時間は僅か数秒だった。すぐ長文が投影されて彼女は早速目を通す。この間、護衛達はひたすら無言である。そして数分かけて読み切った麻衣は、酷く憔悴しきった顔で動揺を露わに、誰にともなく呟いた


「……そんな、明美さんが、殺された?」


心ここに在らずな言葉の後、彼女の頬に数多の涙が溢れ落ちた
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