第13章 〜持てるものこそ与えなくては 後編〜
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誰がともなく110番に通報を終えてしばらく、警視庁の捜査一課が現場に到着した。メンバーは警部の目暮十三、高木渉、佐藤美和子と千葉和伸という四人の刑事達である。そして事情聴取を受ける者達なのだが、コナン達と麻衣達以外に二人いる。遺体を見つけた中年の男と若い女性だ。刑事達はコナンを見た瞬間に、以前の蘭達に対する反応と同じ様にうんざりとした疲れた顔になった
「やっぱり君たちも来ていたのかね…」
「しかも今回は沖矢さんも一緒ですし…」
「「こんにちわ!」」
「あはは…、ごめんなさい」
呆れた声音で一言溢す目暮と高木に対し、子供達は三人揃って挨拶をする。その横ではコナンと灰原と阿笠は苦笑いを漏らして、沖矢は一人眼鏡を支えながら肩を竦めるばかり。別に望んで事件に遭遇しているわけではないが、その確率の高さは偶然と言えど異常だ。だから馴染みの警察達に妙な視線で見られる事も増え、残念ながら悲しく思うものの大分慣れてきた
「それで、一応お聞きしますが、この公園では何を?」
「阿笠博士と私が付き添いなって、この公園で遊びたいと言ってた子供達と遊びに来たんです」
切り替えた佐藤の問いに沖矢が答えた。全員がそれに首肯するとあっさり事情聴取が終わって、次にベンチで固まる麻衣達の方に視線が向いた。ベンチに座っている麻衣を中心として右に肥前、左に南海、彼女の背中を守る様に長義が立っている。静かに顔を強張らせている麻衣と、全く隙が見えない護衛達の警備配置に、沖矢とコナンは何となくジッと見つめ続ける。麻衣を見るや否や、千葉以外はその目を丸くした
「あら?貴女はたしか二週間前の事件でレストランにいた…」
「……はい。榊麻衣と言います」
流石に印象が強くて覚えていたらしい。佐藤が呟く言葉に次いで、麻衣が改めて名乗ってみせた。すると高木が途端に明るい表情になって前に進み出た
「あ、あの時はご協力ありがとうございました!犯人は貴女が言った通りの人物だったんです!」
「『あの時』……?」
高木の言葉に沖矢が鸚鵡返しで呟き首を傾げる。コナンは当時の話で麻衣が不快な気分になっていたのを覚えていた。それで彼が気を遣って横槍を入れようとするが、それより前に麻衣が口を開く