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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第12章 〜持てるものこそ与えなくては 前編〜





その日、審神者たる麻衣と護衛を務める刀剣、南海太郎朝尊と肥前忠広の二振りは米花町のとある公園に来ていた。公園は大手デパートの駐車場の面積ぐらいの広さがあり、真ん中の噴水とアスレチックやブランコ、シーソーなんかの遊具もある。元気のある子供達がきゃっきゃっと楽しそうに遊んでいた。そんな中に点々とあったベンチの一つで、奥側のそれに麻衣達は揃って座って寛いでいた。南海の腕には大事そうに風呂敷に包まれた長方形の物体が抱えられている



「やれやれ…。二週間前の壺もそうだけど、今回の御上の依頼も面倒だったね。壺の浄化が終わった途端に、新たな曰付きの代物が何個も来るなんて。そのうち破壊せずに残せたのは一つだけか」



せめて、送りつけてくるなら面白い実験材料が良いのにね。普段から研究好きなだけあり、南海が僅かに物足りなさげな顔でそう言った

因みに『二週間前の壺』というのは、コナンと沖矢にお灸を据えたその日に政府から届けられて、後日に交換の形で回収された。そして曰く付きの物には手鏡、額縁、人物絵など様々なものがあったのだ。南海の話で当時を思い出した肥前は、心底嫌な気分だと眉間に皺を寄せて険しい顔で舌打ちを一つ



「チッ……!奴らが何でも押し付けすぎなんだよ。こっちも仕事だから絶対断らねぇのを知ってるからな。つーか、役人どもの不始末ぐらい同じ人間が専門機関でつけろってんだ」

「ふふふ、そうは言うがね肥前くん。我らが主人とする者もまた人の子達だよ。そして神職であり公務員でもあるね。主はきちんと同胞として役目を果たしているのさ」



いっそ恨めしいと言葉にするより顕著な態度をしている肥前。そんな彼に南海が言った言葉は、よくよく理解しているものの悪態を吐かずにいられなかった。別に肥前は麻衣に対して、他刃のような過保護と寵愛ぶりを過激に持っているわけではない。それでも無愛想な自分なりに、主人達を愛して大事にしている。南海もそうだ。それを麻衣もきちんと理解している

やり場のない苛立ちをがしがし頭を掻いて紛わせながら、肥前が普段から鋭い目つきを閉じて大きく息を吐いた。周囲はいつの間にやら子供達が遊ぶことをやめて何か話しているのか一所に集まっている



「……そんなの俺も分かってんよ先生。それより喉が渇いたから何か飲み物買ってくる」
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