第4章 後悔
「姉ちゃん!!!!」
そう呼んでぎゅーっと抱きついてきた。
姉ちゃん…ということは…。
「エル……!?久しぶり!」
相変わらずダサい格好をしているが、この時代の彼はあのエテーネの村壊滅の時からはじめて会った、というような感じかな。
服に関して突っ込むのはやめた。
…が、リウ老師が何かに気づいたようだ。
「その制服…帝国技術庁の筆頭研究員ですな?」
うん、とうなづいて今度は私の方を見て話した。
「おいら、この国に流れ着いてから錬金術師としてグルヤンラシュと一緒に時渡りの研究を続けてきたんだ。時渡りで苦しむグルヤンラシュの境遇はおいらもすごく共感できたから……同じ目的のためにキューブを開発してた。」
まさかクオードは一緒に頑張ってきたのが私の弟なんて知らないよなあ……。
で、前にいる弟は私がグルヤンラシュの恋人の関係になってるなんて知らないよなあ。
「だけどあいつの悪事に気づいちゃって…何度も止めようとしてきたんだけど結局おいら何も出来なかった。……おいら、姉ちゃんに伝えたいことが……!」
エルが何かを話そうとしたところでブザーが鳴る。
『第二庁舎、警戒レベル上昇。SSランク研究員以外の立ち入りを禁ず。職員各位留意せよ。繰り返す……。』
「ウルタ皇女が第二庁舎の下層にある特別監視室に監禁されてるんだ。」
「ウルタ皇女が……!?まさかクオード…!」
こうしてはいられない。
もうこれ以上クオードを好き放題させては行けない。
この気持ちは……閉まっておこう。
「早く助けなきゃ!エル、どうしたらいい?」
「第二庁舎につながる渡り廊下は4階にある。ロックはおいらが解除しておくよ。一緒に皇女様を助けよう。そしてグルヤンラシュを止めるんだ……姉ちゃん!」
「……うん!」
私たちは部屋を出て、第二庁舎へと急いだ。