第4章 力を持つ者の使命と宿命
大海原を飛び回るニュースクーがある島の大きな屋敷の前にいた女に新聞を渡す。
「ありがとう。」
新聞を受け取った女は、屋敷の中に戻り自室の中でその新聞を広げた。
一面には、大商社の護衛に、白髭と赤髪との繋がりがある、リルド家の娘の仮面を取った顔が掲載されていた。
「雪女....」
「どうした。」
「あら、お帰りでありんしたか。
わっちは、この娘と会う必要がありんす。」
男は新聞を受けとると、目を丸くした。
「なぜ昔のお前の写真が.....いや、少し違うな。こいつとはどういう関係だ。」
自分に向けられた新聞の写真は、目の前の自分の妻が写真の女と年頃の時と顔が良く似ていたことに驚いた。
「強いて言えば姪。わっちと同じ能力をお持ちでありんす。」
「断言的だな。さっきママから茶会の物資の取引に行くように頼まれた。
俺が動けばディルバリー側もその女を近くの支部に寄越すだろう。
お前が望むなら連れていくが?」
「是非に連れていっておくんなまし。」
そう言うと男は少しだけ鋭い目が柔らかくなる。
「お前と出掛けるのはいつ以来だ?」
「ふふ。ここ1年はありんせんでしたね。喜んでくださるの?」
「当たり前だ。嬉しくないわけがない。」
堅物そうな強面の容姿から素直な気持ちを言えてしまうのは、そういうことに恥じらいを感じないから。
男が差し出した手に女がそっと手を重ねると二人は部屋を出た。