第4章 ハニー・ナースコール③
そこからはいつも通り、あの圧迫感に全身を支配されて、頭がしびれる感じがする。律動に合わせて出そうになる声を自分の手で抑える。
愛し合ってもいないのに、こんな風に身体を重ね合わせるのにいつも違和感を抱く。
(もし愛し合ってる人同士でえっちしたら、もっと気持ちいいのかな…)
絶頂感が頭をもたげる中、ぼんやりと、そんなことを考える。必死に口と目を閉じて、胸いっぱいに広がる快感が過ぎ去るのを待つ。
(もしこんな気持ちにならなければ…例えば…高杉さんみたいな人を好きになっていれば…)
薄目を開けると、窓の外は青々と晴れている。それとは反して、頭の中は高杉さんとのデートの夜を思い出した。
「ぁっ…」
不意にぐいっと彼女の腕が引っ張られる。対面座位の状態にされ、顎を持ちあげられた。
律動は止まり、人間のものでは無い美しい瞳に見つめられ、七七七は思わず冷や汗をかく。
「ど、どうしたんですか…」
「何考えてるんだい?」
「え?」
まるで今考えていたことを見透かされていた様な質問に戸惑いを覚える。いくら淫魔でも人の心は読めないはずだが、こんなに胸がざわざわするのは何故だろうか。
「な、何も。は、早く終わらないかと…思ってただけです…」
「ふーん…?」
目を細める夢野。
これではまるで、蛇に睨まれたカエルだ。