第80章 言って※
「っいあぁ、や・・・あぁ・・・ッ!!」
大きく体を跳ねさせては、はしたなく甘ったるい声を吐き出して。
大袈裟過ぎる程に感じる快感に、すぐにでもまた達してしまいそうだった。
「目を閉じるな、僕だけを見ているんだ」
反射的だったそれに自覚は無くて。
言われてようやくその事実に気付いたくらいだった。
彼からの命令は、言葉こそ強いものの口調は限り無く優しくて。
ただ、それに従いたいのは山々だが、体が、頭が、言うことを聞いてくれない。
彼の指が動く度に聞こえる粘着質な音が、耳をも犯していく。
「零っ、だめ・・・指、動かさない・・・で・・・っ」
ゆっくりだけれど、確実に弱い部分を攻めてきている。
今の状態では、また簡単に達してしまいそうで。
今度は彼の目の前で、その快楽に歪む表情を見られながら。
「触れてほしそうに誘っていたのにか?」
「ちが・・・っ、う・・・ことは、無いけど・・・っ」
触れて欲しかったのは事実。
誘っていたのも、自覚は薄いが事実と言えるだろう。
何も違うことなんて無い。
・・・でも、そうじゃない。
「また・・・イっちゃ、う・・・から・・・!」
何故か達することに不安を覚える。
理由は分からない。
私はさっきから何に怯えているんだろう。
何もかも理由が分からない中、快楽を感じる一方でそんな不安をずっと感じている。
「何度でも、落ちれば良い」
その言葉と同時に、彼の指がするりと腟内に入ってきて。
あまりにも抵抗無く受け入れたことを感じれば、そこがいかに濡れていたかを思い知った。
「い、ぁ・・・、あぁぁ・・・ッ!」
ナカで軽く指が動いただけ。
でもその僅かな動きが、一気に沼へと引きずり込んだ。
「待っ、て・・・っ!」
その言葉が受け入れられるはずも無く。
彼の指がクッと曲げられた瞬間。
「っ・・・ん、ぅ・・・あぁぁぁ・・・ッ!!」
呆気なく、突き落とされた。