第80章 言って※

「良い顔だな」
「･･････ッ」

そう言う彼は、悪い笑顔だ。

一瞬でそうだと判断できるぐらいには、そんな表情を浮かべながら私を見下ろしていて。

顔を隠したくても、それは阻まれている。
見つめられるその目からも、視線を外せなくて。

「ただ、まだ慣らせてないが」
「だ･･･って･･･」

そう言われても、体が過敏に反応してしまうのだから仕方が無い。

それは自分でも、はしたないと思うほどに。

「･･･っん･･･！」

突然、腟内から指が引き抜かれ、そのまま徐ろに私の両手を拘束する手錠に手を伸ばした。

「･･･外すの？」
「嫌か？」

質問は質問で返された。

そういう訳ではなかったのだが、何か気を遣わせてしまったのなら申し訳無いと思って。

「ひなたの顔が存分に拝めるのは良いが、今日はこうしたい気分なんだ」

どうしたいのか、それを問いたかった頃には手錠が外され、楽になった両手に目をやって。

そうしている内にも、彼は服を脱ぎ捨て、これからに必要な準備を手早く済ませていた。

「おいで」

･･･どうやら、私は彼のこの言葉に弱いらしい。

優しい声色でそれを聞くだけで、心臓が壊れそうなくらいに強く跳ねる。

その言葉に吸い寄せられるようにベッドに座る彼の腕の中に収まると、そのまま跨るように誘導された。

もう、彼のモノが挿入るんだ。

言葉は無くても、状況を考えればそう判断するには十分だった。

彼の肩に手を置きながら腰を少し浮かせば、彼のモノが密口に当たって。
それだけでも僅かに表情が歪む。

いざ、久しぶりに彼を受け入れるんだと思うと、それだけで体がおかしくなって。

高ぶって、混乱して、狂った体が勝手に動き、気付けば自分から彼の唇に自分の唇を触れ合わせていた。

自然と開いた隙間から彼の舌が入ってきたことを感じ、思わず首を後ろに引くと、すかさず彼の手がそれを止めて。

「んん、ぅん･･･ッ！！」

力が緩んだせいで、意図せず彼のモノは私の中へとゆっくり入ってきた。