第80章 言って※
「んんッ、んぅん・・・ふ、ぅ・・・ッ!!」
太ももの内側を、優しく撫でるように何度も往復して。
甘い声は全て彼の中へと吐き出され、余すこと無く飲み込まれていった。
もどかしい。
触れて欲しい。
そんな思いが強過ぎたせいか、腰が勝手に動いて足を捩らせた。
「・・・ひなた、今日何を食べた」
「っは・・・ぁ、ど・・・して・・・っ」
深く口付けられた唇を離したかと思えば、彼は急にそう問いかけてきて。
それと同時に太ももを撫でる手も止められた。
突然のことに戸惑いながら、乱れた呼吸の中その理由を尋ねて。
「いいから」
私は良くなんて無いけど。
彼のことだから、この質問にも何か意味があるのだろう。
その理由を考えるほど、今の私に余裕は無いけれど。
「お昼は・・・梓さんと賄いで、パスタを・・・」
それ以外は零と同じものか、夜は思えば口にしていない。
でも、それがどうしたというのか。
「・・・そうか」
・・・なんだろう。
私も十分おかしくなっているとは思うが、それ以上に彼の様子もおかしく感じる。
目を伏せ何かを考えている様子の彼に、僅かに不安を覚えた。
「れい・・・」
「・・・悪い、こんな時に考え事は良くないな」
そう言って軽く額に唇を落とすと、太ももに添えていた手をゆっくり上へと登らせて。
「ん・・・っ」
快感から思わず目を瞑ると、すかさず彼の手が顎を軽く持ち上げ、自然と瞼を上げられた。
「僕の目を見ていろ」
「・・・・・・ッ」
近い。
それだけじゃない。
快楽に歪む表情を、余すこと無く見られている。
それがどんなに恥ずかしい事か。
「・・・れ・・・い・・・っ」
でも両手の桎梏は、この為に付けられているのだから。
カチャリとそれが鳴ったと同時に、余りにも敏感になり過ぎた秘部に、彼の指が到達した。