第80章 言って※

「んぅ、ん･･･っふ、ぅ･･･っ」

彼の口内にくぐもった声を吐き出しながら、時折手錠に繋がる鎖の金属音を響かせて。

両手の自由が無いというだけで、こんなにも不安で、もどかしくて、そして快感というものを上げてしまうものなのか。

そんな事を思いながら彼の離れた唇を目で追い、艶めかしいそれに心臓が高なった。

「れ、い･･･っ」

欲望に耐えきれず、体がガクガクと震え始めて。

何でもいい、明確な快楽が欲しい。
どこか貪欲過ぎる感情に、自分でも戸惑うくらいで。

「･･･そんな声で呼ばないでくれ 」

僅かに困惑したような表情と声色で小さく呟きながら、彼は胸の膨らみに軽く唇を触れさせた。

段々と移動しては何度も唇を触れさせ、着実に蕾へと近付くその感覚だけで、体は歓喜の声を上げているようで。

「壊してしまいそうになる」

そう言いながら鋭い眼光を向けられたと思うと、彼の柔らかい舌がゆっくりと蕾の上を這った。

「･･･っひぁあ･･･！！」

情けないくらいに腑抜けた声を上げながら体を大きく跳ねさせると、全身がビリビリと痛い程に快感が走って。

口に含んだまま舌先で転がされたり、強く舌が押し付けられたり。

時折吸い上げられては、その都度甘過ぎる声を上げてビクビクと体を震えさせた。

「れ･･･っ、何か、おかしく･･･なる･･･っ」

今までこんな感覚は味わったことが無い。
それはまるで絶頂が近付いているような。

でもそんなはずは無いと、脳がパンクしてしまいそうな感覚にも陥って。

どこか不安にも感じるこの感覚に、覆い被さる彼へ感情そのままの視線を向けた。

「そのまま、おかしくなれば良い」

それは嫌。
どこかではそう思っているのに。

おかしくなってしまいたい。
そう思う自分もいて。

彼の舌が口内で動かされる度に、何かに引きずり込まれるような感覚を覚えて。

「･･･っあ、れい･･･んぅ、あ･･･やぁああ･･･ッ！！」

頭が真っ白になった。

その時にはもう、不思議な感覚の絶頂を味わっていた。