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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第80章 言って※




「あ・・・えっと・・・、そうじゃなくて・・・いや、違わないんだけど・・・っ」

強めに言い切ってしまったせいで、それだけを求めているように思われたのではないかと不安になって。

慌てて弁解するが、それはただの挙動不審な人になるだけだった。

「・・・ごめん」

何を言っているのか、何を考えているのか。
もう何も分からなくなってきてしまって。

ぐちゃぐちゃの脳内は整う様子を見せず、ただ項垂れてシーツを掴む手に力を込めた。

「謝る必要はない。分かっているつもりになっていた僕も悪かった」

私が謝る時は、彼も同じように謝ってくる。
こういう時は大概、どちらが悪いなんて事はないのに。

「これは半分冗談のつもりだったが、悪ふざけが過ぎたな。付けないから安心してくれ」

そう言って彼は手にしていた手錠を、繋がっている鎖共々ベッドのフレームの中へと収めていって。

それを目で追いつつ彼の言葉を聞いては、半分は本気だったのかと思いながら、その手を思わず掴んだ。

「・・・どうした?」

掴んだものの、言葉が出てこなくて。
言いたいことは決まっているのに。

視線は彼から外れたまま覚悟を決めていると、ふと零のひんやりとした手が頬に触れた。

「つ、つけて良い・・・っ」

その瞬間、何かが吹っ切れたように突然言葉が出てきて。

私は彼が触れると、喋ってしまう魔法にでもかかっているのだろうか。
そうだとすれば、それはある意味呪いとも言えるかもしれないが。

「・・・これのことか?無理しなくて良い。これは・・・」
「大丈夫・・・!つけて欲しいの・・・!」

この言い方では語弊があるようだが、これ以上の言葉は出てこなかった。

散らかったままの脳内では言葉を整理することもできず、ただ純粋に思っていることしか言葉にできない。

・・・思っていても、言葉にできない物も無いことは無いが。



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