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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第80章 言って※




「少しは落ち着けたか?」
「うん・・・まあ・・・」

お風呂では十分に落ち着けた。
けれど、今は落ち着くどころかソワソワとしてしまう。

それは確実に、この衣服のせいだ。

「疲れただろ。早く横になると良い」

そう言いながら彼は布団を捲って、私をベッドへと誘った。

これから何が始まるかなんて、考えなくても分かる。

だからこんなにも体がビクビクと震えて、心拍数が上がるのだろうか。

・・・そう、思っていたのに。

「おやすみ」

零の隣に転がると、彼は優しく私を抱き締めて。
眠る前の挨拶を口にすると、そのまま動く気配も、何かを言う様子も見せなかった。

聞こえてくるのは、ゆったりとした呼吸のみ。

てっきり、久しぶりにそういう行為があると思っていたのに。

そこまで考えて、誰より貪欲に期待していた事に気付いてしまった。

「・・・・・・」

醜い。

そう思うくらいには、貪欲過ぎた感情。

彼は疲れている。
私から求めてはいけない。

言い聞かせるように脳内で繰り返すと、無理矢理瞼を閉じた。


『ひなたから言ってくるまで、我慢することにしていたんだ』


・・・そういえば、彼はそんな事も言っていた。
けどそのタイミングは、今なんだろうか。

もし、間違っていたら。
そう考えると、怖くて言い出せなくて。

「・・・眠れないのか?」
「!」

顔は彼の胸元に埋まっているから見えないはずなのに。
零はそういうものを、相変わらず気配で感じ取る。

「・・・零が、近くにいるからね」
「いつも近くにいるだろう?」

確かに、眠る時はそうだったけど。
でもそれは彼の家だったり事務所だったりの見知った場所な上に、こんな格好ではなかったから。

今は・・・状況が違い過ぎる。

「零は・・・どうして我慢してたのか、聞いてもいい・・・?」

さっきは答えをくれなかった。

今聞いても、返ってくるとは限らない。

けど、聞かずになんていられなかった。




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