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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第79章 覚悟は




ーーー

ふと目を覚ますと、最初に見えたのはシャンデリアのような照明だった。
でもそれは光を放ってはいなくて。

「・・・?」

部屋は薄暗い。
唯一ついている明かりは、寝転がる私のすぐ側にあるスタンドライトだった。

ゆっくり体を起こしてみると、ようやくそこがベッドの上だということに気がついて。

「・・・ここ、どこ・・・」

辺りを見回してみると、少し壁や装飾は派手なものの、眠ってしまう前に居た場所よりは広く無い部屋だった。

どこかのホテルか・・・誰かが所有するゲストルームか寝室なのか。
考えは一瞬でそれらに絞られた。

その部屋に唯一あるベッドの上で暫く呆然と考えていると、突然どこからか物音が聞こえてきて。

油断しきっていた意識を叩き起し、警戒心に全てを注いだ。

「・・・っ」

思わずベッドを飛び降り壁との僅かな隙間に潜り込むと、壁に背を付けて息を潜め肩を抱いて目を固く瞑った。

暫くすると、出入口に近い場所から扉を閉める音がして。
それは恐らく、お風呂場から誰かが出てきた音。

思い当たる人物はいるものの、それは残念なことに二人いた。

一人は信頼し切れる人物だが、もう一人だと恐怖のどん底に突き落とされる人間。

まさにそれは天国と地獄。

そこからゆっくりと足音が近付いて来る度に、瞼に込める力が強まって。

自身に下される運命を、ただひたすら静かに待った。

近付いてくる人物は徐ろにベッドへと上がって。
それが軋む音が静寂な部屋に響いた。

こちらを覗き込まれている。

そう感じた瞬間。

「・・・ひなた?」
「・・・っ・・・」

その声が聞こえた瞬間、瞼は自然と開かれた。

それと同時に俯いていた顔を上げると、こちらを不思議そうな顔で見つめる零の姿があって。

「・・・・・・ッ・・・」

声にならない声が喉の奥で詰まった。
一気に力の抜けきった体は自分のものでは無いようで。

潜めていた息はいつの間にか荒々しいものになっていた。



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