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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第79章 覚悟は




「いいでしょう、貴方の条件を飲みますよ」

彼から笑顔が消えた。

その目は、どこか降谷零のものにも似ていて。

同じように手を引かれてソファーへ座り直すと、彼は目の前で情報屋が見ているにも関わらず突然、唇を重ね合わせ舌を絡ませた。

「んっ、ぁ・・・はっ・・・バー、んぅ・・・ッ!」

止めようと彼の体を押してみるが、その力を強める程、逆に強く抱きしめられた。

「ひぁっ・・・!待っ、・・・バ・・・」
「透・・・ですよ」

唇が離れたと思うと、今度はそれを耳元に移動させ、ゆっくり舌で形どって。

彼の名前を呼んで制止を求めようとするが、その度に蓋をされたり快楽で押さえ付けられた。

その合間に、彼は耳元で小さく私だけに聞こえるように、そう囁いた。

対応や言動は少なからずバーボンに近いはず。
けれど、今は何故か安室透としての対応を望まれた。

理由は分からないが、今は言われれば従うまで。

分かったと頷く代わりに、彼の袖を小さく引いた。

「別れのキスかい?」
「まさか」

突然のことで息を荒らげる私の頬を指の外側で撫でながら、彼は情報屋に不敵な笑みを浮かべてはそう返した。

「僕から貴方へ渡すものは、ありませんよ」

宣戦布告。

その言葉を口にすると、彼は机上のチェス盤へと向き直って。

彼らの会話から察するに、ただの等価交換では無い。
賭け・・・つまりチェスに負ければ、何もかも得られない。

単純な物々交換であれば穏便に済むのに。
人間とは貪欲な生き物なんだと、思い知らされた。

「久しぶりに楽しい勝負ができそうだ」

情報屋は、チェス盤に並べられた駒の中から黒と白のポーンを手に取ると、それを透さんへと向けて。

「今日は君に選ばせてあげるよ」

チェスのルールはよく知らないが、黒と白で先行後攻が決まることだけは知っている。

そして、基本的に有利とされているのは。

「では、僕は黒で」
「!」

透さんの選ばなかった、白だ。




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